StanでPopulation pharmacokinetic解析
簡単な薬物動態モデルを使ったPopulation pharmacokinetic (母集団薬物動態) 解析を、練習を兼ねてStanで実装してみました。
項目(予定)
- 一被験者の薬物動態解析
- 階層モデルによる複数被験者の薬物動態解析
- 推定パラメータ間の相関と多変量正規分布
- パラメータ個人差を説明する共変量の導入
モチベーション
- 薬物動態・臨床薬理界隈の人にStanを触ってもらうきっかけにする
- 薬物動態に馴染みはないが興味があるStan/Rユーザーへの紹介
モデル
仮想データの作成と実際のデータ解析共に、以下のシンプルな1-コンパートメントモデルを用いています。
消化管に投与された薬物が一次の吸収速度 ka
に従って体内に移行し、体内では薬物が分布容積Vd
に従って分布、最終的にクリアランスCL
によって体外へと排出されるというモデルです(Web上にあまり良い図がなかったので、模式図を簡単に作成しました)。
このモデルからは簡単に解析解を導出することができます。興味の有る方は↓の記事を御覧ください(上の図と対応させるには、A0を投与量/Vd
、k0をCL/Vd
と読み替えてください)。
differential equations - Analytic solution to the one-compartment model - Mathematics Stack Exchange
解析コード・データ
仮想データ、その作成コード、及びに解析コードはGitHubで公開しています。
GitHub - yoshidk6/simple_pk_stan: Practice Stan with simple POPPK models and virtual data
ダウンロードされる場合はリポジトリごとダウンロードするのが一番楽かと思います。↓を参考にしてください。
GitHubで公開されているファイルをダウンロードするときの注意点(右クリックじゃできないよ) | 非IT企業に勤める中年サラリーマンのIT日記
仮想データはmrgsolve
を用いて作成しました。
GitHub - metrumresearchgroup/mrgsolve: Simulate from ODE-based population PK/PD and QSP models in R
Acknowledgement
Stanの使用を始めるにあたり、 StanとRでベイズ統計モデリング / 松浦 健太郎 著 石田 基広 監修 市川 太祐 高橋 康介 高柳 慎一 福島 真太朗 編集 | 共立出版 を頭から読んで勉強しました。実践と背景知識のバランスがとれた素晴らしい本です。このブログの書式も作者の方のブログ StatModeling Memorandum に大いに影響されています。